渡辺和子さん
2・26事件の目撃者で、「置かれた場所で咲きなさい」などの著書で知られるノートルダム清心学園理事長の渡辺和子(わたなべ・かずこ)さんが30日、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。89歳だった。葬儀は修道会、親族、近親者のみで行い、後日、お別れの会を開く予定。同学園が31日、発表した。
特集:惜別2016
1927年、北海道旭川市生まれ。9歳だった36年に2・26事件があり、東京の自宅で父の渡辺錠太郎・陸軍教育総監が殺害される場に居合わせた。
45年に洗礼を受け、聖心女子大を卒業後、上智大大学院を修了し、56年にナミュール・ノートルダム修道女会に入った。米国のボストンカレッジ大学院で博士号を取得し、63年に36歳でノートルダム清心女子大(岡山市北区)の学長に就任した。日本カトリック学校連合会理事長も務めた。修道女マザー・テレサ(故人)とは、84年の来日時に通訳をするなど親交が深かった。
12年に発行された、生きていく上での心の持ちようをつづった著書「置かれた場所で咲きなさい」はベストセラーになった。