イスラエルの軍事裁判所は4日、負傷し無抵抗のパレスチナ人容疑者の頭部を銃で撃って死なせたとして、故殺(謀略のない殺人)罪で20歳の軍兵士に有罪判決を言い渡した。量刑は後日言い渡されるが、最高20年の禁錮刑が科される可能性がある。地元メディアなどが伝えた。
負傷のパレスチナ人頭部を銃撃、兵士を起訴 イスラエル
パレスチナ人は昨年3月、ヨルダン川西岸ヘブロンで別のイスラエル軍兵士を襲撃、その際、負傷した。その後に兵士がパレスチナ人を銃撃する様子をとらえた映像が人権団体によって公表された。兵士はパレスチナ人が自爆する疑いがあったと主張したが、裁判官は「信用できない。不必要に撃つ必要はなかった」と退けた。
国民皆兵のイスラエルでは、軍幹部らが問題を認める一方、右派系の政治家らが擁護してきた。右派連立政権を率いるネタニヤフ首相は4日、「(兵士に)恩赦を与えることを支持する」とフェイスブック上で発言した。「中東唯一の民主主義国」を掲げてきた同国の司法制度を揺るがしかねない大論争になっている。(エルサレム=渡辺丘)