長女が暴行を受けたとされる市営住宅=10日午後6時54分、大阪市住之江区、辻村周次郎撮影
当時生後6カ月の長女(1)に暴行を加え、右半身まひの後遺症が残る大けがを負わせたとして、大阪府警は10日、実母の無職銅銀諭香(どうぎんゆか)容疑者(25)=大阪市住之江区御崎(みさき)4丁目=を傷害容疑で逮捕し、発表した。「今は何も言いたくない」と話しているという。
捜査1課によると、銅銀容疑者は昨年4月12日午前11時55分~午後5時ごろ、長女の頭に暴行を加え、頭蓋骨(ずがいこつ)骨折や急性硬膜下血腫などの重傷を負わせた疑いがある。骨折が数カ所あり、左脳の約3分の2が脳梗塞(こうそく)を起こしていることから、強く揺さぶるなどの激しい衝撃を加えた可能性が高いという。
銅銀容疑者は同日午後5時ごろ、「子どもの顔が青い」と119番。救急隊員に「気付いたらベッドから落ちていた」と説明していた。同居の夫(28)は当時外出中で、息子(2)にもけがはないという。
長女の出産直後、銅銀容疑者は「世話がしんどい」と大阪市こども相談センター(児相)に相談。児相は長女を一時保護し、乳児院に入所させた。長女は昨年3月15日に容疑者の元に戻ったが、ミルクを飲まないことから府内の病院に1週間入院し、同22日に帰宅。児相の職員が同31日まで訪問を重ねて安全と判断し、長女は4月1日から日中は保育所に預けられていた。
児相の尾瀬(おせ)富士男・虐待対応担当課長は「母親に『家族で生活したい』という意向があり、安全を確認した上で対応した。一連の対応に問題はなかったと考えている」と話した。
大阪府内では昨年も堺市で長男(死亡時3)を暴行死させたとして両親が傷害致死罪で起訴されるなど、子どもの犠牲が相次いだ。厚生労働省によると2015年度、18歳未満の児童への虐待に関する児相の相談対応件数は、全国最多の1万6581件だった。