兵庫県警の警察官に違法な職務質問を受け、かばんを開けさせられたとして、県内に住む50代の男性が県を相手取り、慰謝料10万円を求めた訴訟の判決が12日、神戸地裁であった。山口浩司裁判長は「プライバシー侵害の高い行為だった」と述べ、3万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2012年1月、神戸市須磨区のレンタルビデオ店駐車場に車をとめて仮眠をしていたところ、須磨署員から職務質問を受けた。免許証を提示し、車内の確認には応じたが、かばんの中にはアダルトグッズが入っていたため、検査を拒んだ。
そのため署員は車のドアに足を挟んだり、パトカーを正面に止めたりして車の発進を阻止。さらに男性をパトカー内に座らせ、最終的にはかばんを開けさせた。違法な物は見つからなかった。
県警はこの職務質問について「同意の上での所持品検査だった」と主張したが、判決は男性には犯罪を疑わせる具体的な事情がなかったと指摘。「検査は必要性、緊急性を欠いた状況で行われ、警察官職務執行法で認められる範囲を超え違法」と判断した。
県警の増田稔・監察官室長は「判決内容を検討し、関係機関と協議の上、今後の対応を決めたい」とするコメントを出した。(川田惇史)