医療法人「愛仁会」(大阪市北区)は20日、大阪市などから受託した特定健康診査(健診)の採血検査の際、1万4千人以上から同市などの規定以上の採血をしていたと発表した。同法人では昨年、この実態を把握しながら、余分な採血は41人と大阪市に虚偽報告したという。健康被害は報告されていないという。
同法人の総合健康センターは2015年度から、国民健康保険に加入する40歳以上の健診を大阪市から受託。市は国の基準に基づき、通常は採血時に採血管2本分(約7cc)を採り、健診医が必要と判断すれば貧血検査用にもう1本分(約2cc)採ると定めている。
同法人によると、追加の1本分の採血漏れを懸念し、マニュアルに全員から3本分を採ると記載。15年5月~16年9月、市内211回の健診で1万1千人余りから1本分多く採血した。大阪府枚方市と兵庫県尼崎市の健診でも3千人余りから余分に採血した。
昨年11月に大阪市に通報があり、法人の内部調査で判明した。しかし、センター所長ら幹部は昨年12月、「影響が大きい」と、大阪市に余分な採血を過少に報告した。同法人は所長を今月31日付で更迭する。市は入札資格停止などの処分を検討している。(今野忍)