日本年金機構は6日、年金関連の申請書のデータ入力を委託した情報処理会社(本社・札幌市)が、契約に違反し仙台市内の別業者に約53万6千人分の入力を再委託していたと発表した。所得控除手続きに関するデータ入力が中国企業に再委託された問題で、機構が他の委託業者へも特別監査を行って発覚したという。
機構によると、違反したのは「恵和ビジネス」。札幌市や仙台市にある事務センターから昨年8月、各種届け出書の入力作業を計約2億8千万円で委託された。仙台のセンターからは約1億7千万円分を委託され、このうち保険料納付の免除や猶予の申請書約53万6千件の入力を別業者に再委託した。申請書には生年月日や氏名、前年所得などの個人情報が記載されている。
機構は4日に違反を把握し、同社への委託を5日に停止した。再委託先にも監査を行い、情報流出は確認されなかったとしている。同社担当者は違反した理由などについて「現時点では答えられない」とした。
機構の委託業務をめぐっては、「SAY(セイ)企画」(東京都豊島区)が約500万人分の氏名や振り仮名の入力を中国の関連会社に再委託していた問題が発覚。機構は昨年度に委託契約を結んだ119業務の作業状況を調べており、今回の違反はその一環で発覚した。今後さらに違反が見つかる可能性もある。(佐藤啓介)