「アンチポルノ」
日活ロマンポルノリブート企画の第4弾、園子温監督の「アンチポルノ」が28日から東京などで封切られる(順次各地公開)。「いま、ロマンポルノを作る意味はない」と言う園監督の精神はタイトルにも表れており、5人の監督によるリブート作品5本の中でも最大の問題作になっている。
1970年代から80年代前半にかけて約1100本製作されたロマンポルノ。これを現代に再起動(リブート)させようというのが日活の狙いだが、園監督は「それは郷愁でしかない」とズバリと切る。「しかも自分は郷愁すら感じない。これはもう『反(アンチ)ポルノ』しかないと思いました」
主人公は作家でアーティストの京子(冨手麻妙〈とみてあみ〉)。黄色や赤に塗られた部屋で創作にいそしむが、心は満たされない。献身的なマネジャー典子(筒井真理子)をサディスティックにいたぶる日々だ。ところが、映画があるところまで進んだ時、京子と典子の関係が変質し、現実と妄想の境界があいまいに溶け出す……。
園監督は現代日本を「アダルトビデオ(AV)など大量の淫乱な性表現を欲する一方で、街に裸像が陳列されただけで拒否反応を示す極端な倫理観も持ち合わせた時代」とみる。そんな矛盾した状況の中で「多くの男性は女性に対し、可愛らしくて偉そうにしないイメージを求めている。男性に消費されるがままの女性のイメージに『アンチ』を唱えたかった」
映画の冒頭に国会議事堂が登場…