がんの治療と仕事の両立は難しいと考える人が6割超に上ることが、内閣府の世論調査でわかった。両立には、短時間勤務や柔軟な休暇制度が必要と考える人が5割程度いた。
調査では、がんの治療や検査には、2週間に1回程度通院の必要があるとした上で、現在の日本社会は働き続けられる環境と思うかどうかを尋ねた。「そう思わない」(29・3%)、「どちらかといえばそう思わない」(35・2%)で、計64・5%が否定的だった。
両立が難しいと考える人に最大の理由を尋ねると、「代わりに仕事をする人がいない、いても頼みにくい」(21・7%)が最多。「職場が休むことを許してくれるかどうかわからない」(21・3%)、「両立が体力的に困難」(19・9%)と続いた。両立に必要な取り組み(複数回答)は「治療や通院のために短時間勤務が活用できること」(52・6%)が最も多く、「1時間単位の休暇や長期の休暇が取れるなど柔軟な休暇制度」(46・0%)、「在宅勤務を取り入れること」(38・6%)が上位を占めた。
政府は「働き方改革」を掲げ、両立支援に向け、治療休暇制度の普及や、出社せずに自宅で働けるテレワークなど柔軟な働き方を広げる方針を打ち出している。医療機関と企業、産業医・心理カウンセラーの3者が連携して、患者を支える仕組みづくりも進める。
調査は昨年11月17~27日、全国の18歳以上の男女3千人を対象に実施。1815人が回答した(回収率60・5%)。(大久保貴裕)