1日、ソウルの韓国国会で記者会見を終え、会場を去るときに報道陣に囲まれる潘基文氏(中央)=AP
韓国の潘基文(パンギムン)氏(72)が突然、次期大統領選への立候補を断念した。地方出身で外交官になり、外交通商相を経て国連事務総長に上り詰めた韓国の「英雄」。支持率は伸び悩んでいたとはいえ、大統領の座は十分に射程に入っていた。潘氏に何があったのか。韓国社会に衝撃が走った。
潘基文氏、韓国大統領選に不出馬 政治家へ不信感あらわ
「国家統合を遂げようとした純粋な志をあきらめる」。1日午後3時半ごろ、潘氏が国会内の記者会見で立候補断念を表明すると、記者からどよめきが起き、「不出馬宣言」のニュース速報が駆けめぐった。
潘氏の事務所によると、潘氏は1日の明け方、悩んだ末に発表文を書き上げた。ただ、前日の1月31日には大統領制度を見直すため、憲法改正の協議体を提案し、1日も与党セヌリ党などを訪問していた。
潘氏の関係者は「セヌリ党などを訪問した際、反応が芳しくなく、下落した支持率を知らされ、ショックを受けたのが決定的だったようだ」と話す。記者会見を開くのを事務所の報道担当者に伝えたのは開始の20分前だったという。
セヌリ党から離党した議員らで結成した新党「正しい政党」には潘氏の擁立論があった。「正しい政党」関係者は「批判に対する心理的な負担も相当大きかったのではないか」とみる。
潘氏は国連事務総長として10年にわたって韓国を離れ、立場上、内政に言及を控えていた。1月12日に帰国後、潘氏の一挙手一投足をメディアが追った。仁川空港に到着した後、自宅に帰る際、迎えの車ではなく、鉄道を利用した。国連事務総長ではなく、一般市民を演出するのがねらいだった。しかし、券売機に潘氏が慣れない手つきで紙幣を2枚一緒に入れようとした様子は繰り返し報じられ、冷ややかな視線を浴びる材料になった。
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