木村重信さん
原始時代から現代までの美術を幅広く研究し、国立国際美術館や兵庫県立美術館の館長を務めるなど美術行政にも尽力した美術史家、木村重信(きむら・しげのぶ)さんが1月30日、肺炎で死去した。91歳だった。葬儀は近親者で営む。喪主は妻嘉子(よしこ)さん。
京都大卒。京都市立芸術大学、大阪大教授を歴任。世界各地でのフィールドワークに基づくユニークな視点から美術史を研究し民族芸術学会長を務めた。一方で、具体美術協会(具体)など現代美術に関心を示し、新聞や雑誌の美術評を手がけたほか、著作を多数出版。学界とジャーナリズムの両面で活躍した。
「人々を楽しませる美術館」の目標を掲げて美術行政にも積極的にかかわった。92年に大阪府吹田市の万博記念公園内にあった国立国際美術館の館長に就任、現在地の大阪・中之島への新築移転に尽力した。98年には兵庫県立近代美術館の館長に就き、02年に新築移転した兵庫県立美術館の初代館長を務めた。今年1月に体調を崩し、入院していた。
主な著作に「カラハリ砂漠」(毎日出版文化賞受賞)、「美術の始源」「ヴィーナス以前」など。