米労働省が3日発表した1月の雇用統計で、景気の動向を敏感に反映するとされる「非農業部門の就業者数(季節調整済み)」は、昨年12月に比べて22万7千人増加した。専門家の事前予想(約17万人の増加)を大きく上回り、米国の雇用環境の着実な回復ぶりが確認された。米連邦準備制度理事会(FRB)が想定する利上げのシナリオを後押しすることになりそうだ。
失業率は前月の4・7%から4・8%とやや悪くなったが、FRBはすでに完全な雇用状態に近づいていると判断している。
FRBは1日まで開いた金融政策を決める会合では追加利上げを見送ったが、年内には計3回の利上げを見込む。イエレン議長も1月の講演で今年前半の利上げを示唆した。市場では、6月に開く会合の利上げが有力視されるが、「次回の3月会合も排除できない」(米エコノミスト)という見方が出始めた。
今回の雇用統計では、物価の動向を見極めるうえで重要な平均時給は26ドルと、前年同月比では2・5%の増加で伸びが鈍くなった。また、トランプ米大統領の経済政策運営は不透明感も根強く、これらをふまえてFRBは利上げ時期を探っていくことになる。(ニューヨーク=畑中徹)