電子書籍でデビューした作家の藤井太洋さん
電子書籍の個人出版で作家デビューを果たした作家の藤井太洋さんに電子書籍の利点と課題を聞いた。(インタビューは2016年12月27日、17年1月12日)
ネットで作家を発掘、本に 幻冬舎流「電子と紙の融合」
電子に行く才能、取りこぼさない 幻冬舎・見城徹社長
――デビュー作のSF小説「Gene Mappaer(ジーン・マッパー)」は、紙の書籍ではなくて電子書籍で個人出版されたのですね。
「はい。SNSでつながっている友人、知人がたくさんいたので、その人たちに読んで欲しくて、確実に届けられる方法として電子書籍を選びました。(ソフトウェア開発会社で)サラリーマンをしながら通勤途中の私鉄や地下鉄の車中でスマートフォンで書きました。それが2011年のことで、電子書籍で出版したのが12年です。おそらく私が電子書籍で個人出版した第1号だと思いますね」
――過去に出版社に持ち込んだりしたことは?
「まったくないです。初めて書いたのが『Gene Mapper』。それが電子書籍の個人出版で累計1万部を超えて。そのうちアマゾンで売ったのが7千くらいで、あとはコボとかアップルのiTunesで」
――利点はどんなところにありましたか?
「こうして作品を世の中に出せて、とにかく読者を獲得できました。初めて小説を書く人、あるいは出版社にコネクションがなく出版社から依頼を受けないで小説を書く人にとって、他人の目にとまる可能性は電子出版しかないでしょう。それが確実にできますね」
「私の場合、過去にグラフィックデザイナーをしたり、ソフトウェア開発会社でダウンロードソフトの販売などをしたりしてきたので、そのノウハウも生かせました」
――どんなノウハウですか?
「サーバーを借りてドメインを…