横断幕を掲げ法廷に向かう原告団=23日午前9時38分、沖縄県沖縄市の那覇地裁沖縄支部、小宮路勝撮影
米空軍嘉手納基地(沖縄県沖縄市など)の周辺に住む約2万2千人が、米軍機による騒音被害の損害賠償や、夜間・早朝の飛行差し止めなどを国に求めた第3次嘉手納爆音訴訟で、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)は23日、被害を認め、国に総額約301億9800万円の賠償金の支払いを命じた。飛行の差し止め請求は退けた。
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原告は「うるささ指数(W値)」75以上の地域に暮らす沖縄本島中部5市町村の住民で、2011年に提訴。原告数2万2058人は基地騒音をめぐる全国の「爆音訴訟」で過去最多となった。今回の判決も、1982年提訴の第1次、2000年提訴の第2次訴訟に続いて、米軍機の騒音による住民の被害を認めた。
全国でも米軍横田基地(東京)や米海軍厚木基地(神奈川県)などで数回にわたり住民訴訟が起こされ、昨年12月の厚木第4次訴訟でも最高裁が国に損害賠償の支払いを命じるなど、米軍機の飛行騒音による住民の被害を認める判決が定着している。一方、米軍機の飛行差し止め請求は、日本政府には米軍の行動を制約する権限はないとする「第三者行為論」などを理由に退けられている。(小山謙太郎、吉田拓史)