米国メディアの報道によると、今年4月の米国・中国間の貿易額は397億ドル(1ドルは約106.9円)に上り、3月に比べて43%近く増加した。これは、中国が再び米国にとって最大の貿易相手国になったことを意味する。中国新聞社が伝えた。
これまでは中米経済貿易摩擦の影響があったため、2019年上半期の米国の中国からの輸入額は前年同期比12%減少し、中国への輸出額は同19%減少し、中米間の物品貿易額は2710億4千万ドルだった。そしてメキシコが中国を追い抜き、米国の最大の貿易相手国になった。
専門家は取材に答える中で、「このたび中国が米国最大の貿易相手国に返り咲いたことは、中国内外の要因が作用し合った結果だ」との見方を示した。
中国社会科学院世界経済・政治研究所の高凌雲研究員は、「中米貿易には経済貿易摩擦による異常な減少が起こったが、両国の経済貿易協力の深くて厚みのある基礎はまだ存在する。このたびの中米二国間貿易額の回復増加は、この基礎が目に見える形で現れたことにほかならない」と述べた。
商務部(省)国際貿易経済協力研究院国際市場研究所の白明副所長も、「中国の輸出商品の競争力が高まり、米国の中国商品に対するニーズが相対的に安定していたことが、中国が米国最大の貿易相手国に返り咲いた重要な原因だ。また新型コロナウイルス感染症を受けてグローバル産業チェーン、グローバルサプライチェーンのあちこちで停滞や時には断絶が生じる中、中国の産業チェーン・サプライチェーンにおける優位性が一層顕在化したこと、経済が他国に先駆けて回復したこと、中国が中米間の経済貿易協議の「第1段階の合意」を真剣に履行していることも、中米貿易の回復にとってプラスの条件になった」と述べた。
高氏は、「中米貿易額の単月での回復増加は確かに積極的なシグナルだが、貿易の月例データは変動が大きいものだ。現在、米国内にはなお米中経済貿易協力に反対する声があり、さらに米国の大統領選挙に先立つさまざまな不確実性もあり、二国間貿易に現れた積極的な流れを維持したいなら、中米双方がともに努力し、向き合って進むことが必要だ」と指摘した。
感染症が拡大を続け、グローバル経済・貿易がいずれも深刻な打撃を受ける中、中米貿易の見通しも同じく試練に直面している。
高氏も、「感染症が持続し、米国経済がここ1-2年では感染症発生前の状態に戻るのが難しい状況の中で、中国企業は今年の中米貿易減少に向けて心の準備をしておくべきだ」と注意を促した。
ただ、中国とASEANをはじめとする周辺のエコノミーとの貿易額は減少することなく増加しており、このことは中米貿易の低迷が中国対外貿易全体に与える圧力を緩和する上でプラスに働く。
公式データによると、今年1-5月の中国・ASEAN間の貿易額は1兆7千億元(1元は約15.1円)に上り、同4.2%増加して、中国の対外貿易輸出入額が全体で4.9%減少した中でとりわけ目を引いた。このうち中国からASEANへの輸出は9千億元に達して、同2.8増加した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年6月18日