マイナビは1日、東京都渋谷区で開いた合同会社説明会を初めてネットでライブ配信した。会場に来られない地方の学生や留学生に見てもらおうと、企業の人事担当者がカメラに向かって自社をPRした。(関田航撮影)
来春卒業する大学生に対する企業の採用活動が1日解禁され、全国各地で会社説明会が始まった。学生に有利な「売り手市場」が続く中、学生たちが注目するのは「仕事のやりがい」や「働きやすさ」だ。会社説明会では「働き方改革」や「女性活躍」をPRする企業が目立った。
「3人産んで3回職場復帰した人もいます」
32社が参加して開かれた法政大(東京)での会社説明会で、住宅設備・建材メーカー「LIXIL」の担当者は「ワーク・ライフ・バランス」と「働き方改革」を強調した。月末の金曜日に仕事を早く終える「プレミアムフライデー」の奨励や、社長が連続休暇を取るようにメッセージを出していることなども紹介した。
経済学部の女子学生(21)は「出産後も仕事を続けたいので、具体例が聞けて良かった。セミナーを受けてみたい」。
広告大手、電通に勤務していた女性新入社員の過労自殺が社会問題化し、学生たちの働き方への関心が高まる中、「働きやすさ」を発信する企業が目立つ。
東京都渋谷区であった就職情報会社マイナビの合同会社説明会では、大和証券グループの人事担当者が「うちは厚生労働省のイクメン企業アワードを受賞しています。男性の育休取得率は73%です」と学生にアピール。第一生命保険の人事担当者も「女性が産休・育休をとれる風土がしっかり根付いています」と呼びかけた。「ここ1、2年で働き方に関する学生からの質問が増えたので、説明に時間を割くようにしている」という。
一方の学生側。東京都の私立大3年の女子学生(21)は食品や化粧品業界を志望しているが、会社の規模にはこだわらないという。「大企業で残業ばかりの毎日を送るより、中小でも無理せず長く働ける会社を選びたい」。
別の私立大に通う3年の男子学生(21)は「ずっとあくせく働くのは嫌。30歳くらいで結婚し、共働きしながら家庭も大事にするのが理想です」。
福岡市内の大学に通う女性(21)は、説明を聞いた企業が残業時間にも触れていたと言い、「参考になる。気になる企業があったら、福利厚生も調べたい」と話した。
マイナビが来春卒業する大学生・大学院生約4千人を対象に実施した調査によると、毎晩遅くまで残業し、トップの成績を上げている同性の社会人について、「かっこいい」と答えた学生は男性が51・8%、女性が50・0%。いずれも、同じ質問をしている2015年の調査から2年連続で減っている。
マイナビの栗田卓也・HRリサーチ部長は「ブラック企業や政府の働き方改革の記事が増え、学生は労働時間の長さや子育ての環境を企業選びの基準にするようになった。それに応え、企業側も情報発信に熱心になっている」とみる。(大内奏、杉原里美、前田育穂)