一回裏に先制適時打を放った筒香をハイタッチで迎える日本の小久保監督=川村直子撮影
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(7日、WBC1次リーグB組 キューバ6―11日本)
特集:2017WBC
ぐしゃりと、鈍い音がした。会心の当たりではない。それでも、しっかりと振り切ったぶんだけ打球は右翼手の前で弾んだ。日本の4番打者のバットから先制点が生まれた。
一回。2死から青木が左翼フェンス直撃の二塁打で出塁する。ここで4番・筒香の登場だ。4球目、ひざ元のスライダーに詰まりながらも右前へ運んだ。「結果がすべて。よかった」
独特の緊張感が漂う初戦。先に点を取って主導権を握れるかが、ポイントだった。一回の守りでは、先発の石川が先頭打者に安打を許し、次打者のゴロを松田が失策。浮足立ち、いきなりピンチを迎えていた。
そんな嫌な流れを、「なにがあっても4番は筒香」と監督から信頼を寄せられる25歳が、一振りで変えた。最高の形で奪った先制点に、仲間が続かないわけがない。四回は山田が勝ち越し二塁打、五回には松田の3ランなど打者11人の攻撃で5得点。キューバが小刻みにつぎこんできたタイプの違う投手を攻略した。主砲が示したように、詰まることを恐れず、引きつけて打ち返したからだ。
筒香は言う。「集中して打てる球を待って、思いきりスイングした」。3点差に迫られた直後の七回は、ダメ押しの2ランを右中間席へ放り込んだ。一回の先制打も、この本塁打も打席でスイングをしたのは一度だけ。「絶対に勝ちたかった」。一振りに思いを込めた。(山口裕起)
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○小久保監督 「独特の緊張感でスタートし、初回、菊池のプレーが大きかった。8番の松田もよく(走者を)かえした。青木のプレーとか、守りもいい部分があった。こういうことを続けていきたい」