ちくわ笛を演奏するファンタスティックスのメンバー=神戸市長田区
本物のちくわを使った「ちくわ笛」の演奏会が4月、神戸市で開かれる。若手フルート奏者の世界的な登竜門として知られるコンクールの盛り上げが狙いだが、味わい深い音色とユーモラスな演奏姿もなかなかのもの。出演団体が慣れない「楽器」で練習に励んでいる。
ちくわの演奏会は、「神戸国際フルートコンクール」(5月25日~6月4日)に合わせて開かれる音楽祭の一環。神戸市が主催する。出演するのはカリブの打楽器を演奏している市民楽団「ファンタスティックス」の約30人だ。阪神・淡路大震災で被害を受けた神戸市長田区を元気づけようと16年前に発足した。
きっかけは音楽祭の企画会議。フルートと同じ笛を使った催しについて話し合った際、インターネット上で見つけたちくわ笛の動画について、「こんなんできるの」「ちゃんと音階がある」と盛り上がった。会議のメンバーだったファンタスティックス事務局長の山本亜純(あずみ)さん(40)が打診され、「やってみましょう」と引き受けた。
1月から本格的に練習を開始。ネットで公開されている作り方を参考に試行錯誤した結果、笛はちくわの端を切り落とし、吹き口をつくるだけの簡単なものにした。指で押さえる穴を開けず、挟んだり折り曲げたりして音の高さを変える。長くて太いちくわで、袋から出して少し硬くなった状態が吹きやすいという。
ビール瓶の注ぎ口に下唇を当て…