巣穴の周囲で動き回るアマミノクロウサギの幼獣(鹿児島県奄美大島、鹿児島大国際島嶼教育研究センター奄美分室提供)
鹿児島県奄美大島に生息する国特別天然記念物アマミノクロウサギの幼獣が猫に襲われる瞬間を、鹿児島大の研究員が初めて動画で撮影した。巣穴に戻ってきた子ウサギに猫が飛びかかる一連の流れをとらえた。野生化した猫(ノネコ)が希少動物を襲う問題は、島がめざす世界自然遺産登録の課題となっている。
同大国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室(奄美市)の鈴木真理子研究員(哺乳類生態学)が25日、発表した。クロウサギの繁殖行動や成長の研究のため、島中部の巣穴の前に設置していたセンサーカメラで、2月18日深夜から翌日未明にかけて自動撮影したという。
クロウサギは、生まれた子どもをしばらくは別の巣穴に潜ませ、母ウサギが授乳に通う。鈴木さんによると、巣立ち直前とみられる子ウサギが巣穴に戻ったところを襲われた。翌日には、授乳に訪れた母ウサギが子ウサギを捜す様子も映っていたという。
巣穴は集落から2キロ以上離れ、野良猫や飼い猫でなく、ノネコが襲った可能性が高いという。鈴木さんは「猫は(自然の中に)もともと生息していなかった外来種。悪いのは猫ではなく、飼育を放棄した人間。捨てずに次の飼い主を探したり、保健所に相談したりするのを常識にしてほしい」と話した。
動画は26日に徳之島、28日…