ジミー・ペイジは悪くなかった――。東京のロックイベントで、世界的ギタリストのジミー・ペイジ氏とジェフ・ベック氏が共演すると宣伝されながら実際はしなかった問題で、チケット代などの損害賠償を求めた札幌市の弁護士と主催者側が今月、札幌地裁で和解した。弁護士は「ジミー・ペイジが自身の責任で演奏しなかったのではないことが明らかになり、チケット代も返金されたため、訴訟の目的が達成された」と話している。
ジミー・ペイジ、なぜ演奏せず? 弁護士が賠償求め提訴
訴訟を起こしていたのは奥山倫行弁護士(42)=札幌弁護士会=で、和解は4月4日付。訴状などによると、東京・両国国技館で昨年11月11日に開かれた「クラシック・ロック・アワード」で、主催者のイベント運営会社「KLab Entertainment」はチケット販売時に「世界3大ギタリストの2人、ジェフ・ベックとジミー・ペイジが日本初共演を果たす」と宣伝した。大のロックファンの奥山さんは共演を楽しみに上京したが、ペイジ氏はステージに約2分間登壇しただけで、演奏することはなかった。
同社はイベント後、ホームページで「本番直前に、ジミー・ペイジ氏の意向により、演奏が行われなかった」などとする声明を発表(現在は削除)。納得がいかなかった奥山さんは文書で詳しい説明を求めたが、同社が「守秘義務」を理由に具体的な説明をしなかったといい、チケット代や航空券代など約17万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
その後、同社は「日英の主催者間で、ペイジ氏が演奏するのかどうか厳密に確認できていなかった」とする声明を発表し、「11月の声明の中でペイジ氏に責任があるかのような表現を行ってしまった。同氏に責任が全くないにもかかわらず、かかる表現がなされたことは不適切だった。主催者側に明白に落ち度があった」としてペイジ氏とファンに陳謝した。その上で、希望する来場者にチケット代を返金することにした。
同社は「和解したことは事実。申し上げるべきことは全てホームページに書いてある。イベント事業からは撤退を決めた」としている。奥山さんは「ジミー・ペイジは悪くなかったことが明らかになってよかったが、最初から誠意ある対応をしてほしかった」と話した。(坂東慎一郎)