(11日、広島9―6巨人)
乱打戦となった首位攻防戦。広島は新4番が打線を引っ張り、渋い脇役が試合を決めた。
壁になったのはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表のエース、巨人菅野。難敵に、広島の緒方監督は理想に思い描く打順をぶつけた。「今季の課題は4番。(鈴木)誠也が昨年以上の成績を残せば据える」。40歳の新井を休ませ、22歳をプロ入り初の4番に抜擢(ばってき)した。
その鈴木が3点を追う六回、反撃の口火を切った。外角の直球をとらえて、左前安打で出塁。その後、野選や、代打・小窪の2点三塁打などでマウンドから菅野を引きずり下ろした。
攻撃の手を緩めない。打者一巡の猛攻で、再び打席がまわってきた鈴木は2点二塁打。二塁に達すると、ガッツポーズで叫んだ。「先輩たちが打たせてくれました。4番でも5番でもチャンスでまわってくるのは変わらない」
その裏に追いつかれるも、七回だ。伏兵が決勝点をたたき出した。1死二塁で、小窪が歯を食いしばって、直球を左前へはじき返した。「とにかく食らいついていきました」
リーグ連覇へ、緒方監督は新打線に手応え十分だ。「全員がいい準備をしてくれている」。新4番にも合格点を与えた。「誠也はたくましい結果を出してくれた。新井を抜くつもりでやってほしい」。広島は1分けを挟み8連勝。開幕ダッシュに成功し、打線のさらなる進化も予感させた。(吉田純哉)
○菊池(広) 5安打。七回には2ランで貴重な追加点。「1打席目で安打が出たので気が楽になりました」
○野村(広) 5回3失点で勝敗は付かず。「調子自体は悪くなかった。次はしっかり長いイニングを投げきりたい」
■菅野、六回に球威落ちる
巨人はエースの菅野が踏ん張れなかった。六回に球数が100球を超え、球威が落ちた。1点を返され、なお2死二、三塁。代打・小窪に外角直球を右越えへ三塁打され、同点に。次打者に四球を与えたところで降板した。チームは逆転負けを喫し、「相手の打線はしつこさも勢いもあった」と肩を落とした。
●阿部(巨) 六回1死一、三塁。一ゴロを捕球したが、本塁送球が遅れて失点する。記録は野選。「最低でも一つはアウトを取らないと。申し訳ない」
●高橋監督(巨) 「菅野はいいとは言えない。(交代した六回は)いっぱい、いっぱいだと判断した」