緊迫化するシリアや北朝鮮情勢が懸念され、金融市場で円高・株安が進んでいる。12日の東京市場では一時、1ドル=109円台前半と約5カ月ぶりの水準まで円高が進んだ。円高を嫌気して、日経平均株価は一時、前日終値より250円超値下がりし、約4カ月ぶりに1万8500円台を割り込んだ。
トランプ米大統領が、さらなるシリア攻撃や北朝鮮への武力攻撃の可能性を示唆し、米国とロシアの関係が緊迫化。これを受け、11日のニューヨーク外国為替市場では比較的安全な資産とされる円が買われ、約5カ月ぶりに1ドル=109円台をつけた。東京市場もこの流れを引き継いでいる。午後1時時点の対ドルは、前日午後5時より1円05銭円高ドル安の1ドル=109円49~50銭。対ユーロは、同1円00銭円高ユーロ安の1ユーロ=116円06~08銭。
東京株式市場は全面安の展開となり、日経平均の午前の終値は、前日終値より231円83銭安い1万8516円04銭。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は同18・65ポイント低い1476・45。SMBC日興証券の太田千尋氏は「地政学リスクがくすぶり、リスク回避で売りが先行している」とみる。
資金は株式から債券に流れている。東京債券市場では、長期金利の指標となる満期10年の新発国債の流通利回りが一時、0・020%と約4カ月ぶりの低水準をつけた。(大隈悠、ニューヨーク=江渕崇)