佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に稲葉陽(あきら)八段(28)が挑戦する第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局が20日、青森県弘前市の藤田記念庭園で始まり、午後6時32分、先手の稲葉挑戦者が29手目を封じて1日目を終えた。類例の少ない力戦で、共に長考を繰り返すスローペースになった。
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持ち時間各9時間のうち、消費は稲葉挑戦者が4時間44分、佐藤名人が3時間32分。21日朝に再開し、夜までに決着する見込み。
稲葉挑戦者が開幕戦を制して迎えた本局。戦型は第1局と同様、両者得意の横歩取りが予想されたが、矢倉の出だしから構想力が問われる力勝負になった。
稲葉挑戦者が▲3四飛と歩を得する一方、佐藤名人は前線に駒を進めて攻勢をとった。佐藤名人が△7五歩と攻撃を開始したのに対し、稲葉挑戦者が本局最長の67分を費やして封じ手を決断した。
解説を務める副立会人の木村一基八段は「双方の積極的な指し方は、将棋ソフトの影響を受けていると思います。当面は、佐藤名人が攻めて稲葉挑戦者がしのぐ展開になりそうです」と話した。(村瀬信也)
〈指し手〉先手・稲葉八段 ▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲2六歩△7四歩▲2五歩△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△7三銀▲7八金△8五歩▲3四飛△4四角▲2四飛△2二銀▲2八飛△3三桂▲4六歩△5四歩▲4八銀△6四銀▲3六歩△7五歩