ソフトバンクの甲斐拓也
(2日、ソフトバンク14―4西武)
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まさかの一発だった。ソフトバンクが2点を追う二回2死満塁。甲斐の打球が左翼テラス席に吸い込まれる。プロ7年目の初本塁打、通算10本目の安打が逆転満塁弾。プロ初アーチが満塁弾となったのは、育成出身では初だ。
西武の新助っ人、キャンデラリオが投じた内角高めへの143キロにうまく体を反転させた。この日は、米国から復帰した川崎の本拠での凱旋(がいせん)試合だったが、殊勲の一振りで主役の座を奪うと、本塁で出迎えた川崎も抱き合って祝福した。
2010年育成ドラフト6位指名された24歳。大分・楊志館高時代は30本塁打以上放ったが、プロでは木製バットに苦戦。「1年目のキャンプは打撃マシン(の球)でさえ打てなかった」。170センチ、75キロと小柄ながらチーム屈指の強肩を買われ、今季は開幕から1軍に定着。打撃でも一握り近くバットを短く持ち、「打てる打者とは思っていない。一打席一打席やれることをやる。死球でもなんでも塁に出てつなぐ」とホームベース付近ぎりぎりで構えている。
捕手としても粘り強くリードし、開幕からバッテリーを組む同期の千賀を4連勝に導いた。両チーム計7本塁打が飛び交う空中戦を制し、チームは3位に浮上。プロ初のお立ち台で「最高です」と照れくさそうに笑った。球史に名を刻んだホームランボールは「一番迷惑をかけたんで」と母親に渡すつもりだ。(甲斐弘史)
○工藤監督(ソ) 「(満塁弾の甲斐は)みんなびっくりしている。よく粘ってなんとかしようという気持ちがホームランにつながったと思う。日頃の練習が実を結んだ。(2本塁打の)上林も、最初の三振があって、しっかりと積極的にいこうという気持ちが次の打席に出て良い形になった。積極的に打ちにいっての方が良い結果が生まれるということがわかったと思う。これを続けてほしい」
○上林(ソ) 2本塁打。「(1本目の3ランは)1打席目でやらかして、なんとか打とうと思った。最高の結果」
○川崎(ソ) 古巣復帰後初の本拠戦で1安打。「きれいなヒット。疲れて何を打ったかも覚えていない」
○千賀(ソ) 4勝目。「立ち上がりどうなるかと思ったが、すぐに野手の皆さんが点を取ってくれてリズムをもらった」