不正融資問題で国から業務改善命令を受けた後の取材に応じ、一礼する商工中金の安達健祐社長=9日夕方、東京都千代田区の経済産業省
政府は9日、災害や不況で業績が悪化した企業への国の制度融資「危機対応業務」で、不正な貸し付けを行った商工組合中央金庫(商工中金)に対し、業務改善命令を出した。問題の調査を続けて原因を特定することや、法令順守体制の整備、国から不正に受け取った利子補給金の返還を命じ、6月9日までに業務改善計画を出すよう求めた。
命令は経済産業相、財務相、金融庁長官名で行った。不正については、商工中金の第三者委員会が先月調査結果を公表したが、調査対象は制度融資の一部にとどまった。改善命令では、今後も調査を続けて全容を明らかにし、役職員の責任を明確化するよう求め、必要に応じて追加の行政処分を検討するとしている。
危機対応業務は、自然災害や円高・デフレなどで経営が悪化した企業に国が行う低利融資。商工中金は融資の窓口となっていたが、実績を上げるため、業績が悪化していない取引先に対しても、書類を改ざんするなどして融資した。不正には35支店が関与し、受け取った利子補給金は判明分だけで1・3億円にのぼる。昨年10月に問題が発覚し、先月25日に第三者委員会が調査結果を公表。安達健祐社長(元経済産業事務次官)らに減給処分を行った。