サントリースピリッツの「ジャパニーズクラフトジン『ROKU』」
カクテルのベースの酒にもなるジン。原料や製法にこだわったものは最近、「クラフトジン」と呼ばれて人気です。国内でも、地域の素材を生かした商品が次々に登場しています。
きりとりトレンド 話題の商品を紹介
ジンは、穀物などからつくるアルコールがもとになる。ジュニパーベリー(針葉樹ネズの実)のほか、果物の皮やスパイスといった様々な草根木皮(そうこんもくひ)を加えて蒸留することで、個性的な風味や香りを生み出す。
約600種類のジンをそろえる大阪・北新地のジン専門バー「バー・ジュニパー・セカンド」によると、約10年前から欧州を中心に素材にこだわった高価なジンが広がった。「20~30代の若い人や外国人観光客が日本産を注文することが多い」と瀬川亮店長(30)は話す。国内でも近年、「ご当地素材」を使ったジンが相次いで開発されてきた。
先駆けは京都蒸溜(じょうりゅう)所(京都市南区)だ。京都産の高級茶「玉露」やユズなど11種類の素材で香味付けした「季の美 京都ドライジン」(税込み5400円)を2016年に発売。英国の品評会で金賞も得た。商品の監修は、サントリーでウイスキー開発などを担った大西正巳さん(74)。「いまの消費者は高価でも自分の価値観に合うものを選ぶ。その流れでクラフトジンも受け入れられた」
和歌山の梅酒、九州の焼酎、沖縄の泡盛……など各地の酒造会社がジンづくりに参入。広島ではカキの殻を使って地元色を打ち出す。飲料大手のサントリースピリッツやアサヒビールも新商品で対抗する。
サントリースピリッツによると、17年の国内ジンの市場規模は前年よりも18%拡大したという。高級スーパーの成城石井は、16年からジンの売り場を拡大。国内外の約50種類を扱い、30種類ほどがクラフトジンだ。3月のジンの売り上げは、前年同月に比べ30%伸びた。(中村光)
桜や玉露 6種の味わい
サントリースピリッツの「ジャパニーズクラフトジン『ROKU』」は、桜や玉露、サンショウなど6種類を使った日本的な香味付けが特徴だ。ウイスキーを主力とするビームサントリー社との共同開発で、ブレンド技術を生かして繊細な味わいを実現した。700ml入りで希望小売価格は4320円。
伝統受け継ぐ蒸留法
アサヒビールの「ニッカ カフェジン」は、ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝氏が導入した蒸留器を使い、仙台市にある同社の宮城峡蒸溜(じょうりゅう)所で製造。サンショウやユズなどを用い、爽やかでスパイシーな香りと甘い口当たりが売りだ。700ml入りで、参考小売価格は4860円。
和歌山感じるすっきり味
梅酒などを手がける中野BC(和歌山県海南市)の「槙(こずえ)―KOZUE―」は、高野山で霊木とされる針葉樹の葉や温州ミカンの皮など、県産の4素材を使った。木の香りが漂うすっきりした味わいで、ジントニックやかんきつ系のカクテル向き。700ml入りで希望小売価格は2916円。
瀬戸内の恵み17種
日本酒や焼酎を主力とする中国醸造(広島県廿日市市)が、今年に新設した蒸留所で初めて手がけたジンが「SAKURAO GIN LIMITED」だ。ジュニパーベリーを含め、カキの殻やレモンなど17種類の素材はすべて県内から調達したという。700ml入りで参考小売価格は5940円。
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成城石井の売れ筋商品などから選びました。価格は税込み
売れ筋ランキング
①季の美 京都ドライジン(ウィスク・イー)5000円
②ジャパニーズクラフトジン「ROKU」(サントリースピリッツ)4000円
③槙-KOZUE-(中野BC)2690円
④SAKURAO GIN ORIGINAL(中国醸造)2000円
⑤ニッカ カフェジン(アサヒビール)4490円
※成城石井の3月の販売ランキング。かっこは販売元。4月12日時点の店頭価格で税抜き(きりとりトレンド)