安倍晋三首相が8日の衆院予算委員会で、憲法改正の見解を聞かれて「読売新聞を熟読して」などと述べて具体的な答弁を避けようとした問題で、民進党の蓮舫代表が9日の参院予算委で「国民の代表機関である国会で説明する責任を放棄している」と述べ、発言の撤回を求めた。首相は「今、この場で自民党総裁として一政党の考えを披瀝(ひれき)すべきではない。国会軽視ではない」などと答え、撤回には応じなかった。
安倍首相、改憲発言の整合性「新聞読んで」 衆院予算委
民進は同日の衆院議院運営委員会理事会で、「立法府の破壊につながりかねない重大な発言だ」と抗議。理事会での萩生田光一官房副長官による説明を求め、政府・与党が求めに応じない場合には、11日の衆院憲法審査会の開催を認めない構えを見せた。民進幹部は「憲法を議論できる状況にない。官房副長官が説明できないならば衆院の憲法審査会を止めざるを得ない」と述べた。
首相は衆院予算委で、「(国会審議で)党総裁としての考え方を縷々(るる)述べるべきではない」「党総裁としての考え方は相当詳しく読売新聞に書いてある。ぜひ熟読して」と述べた。共産党の小池晃書記局長は参院予算委で、「(首相は)『自民党総裁として言った』と延々と言うが、読売新聞に『首相インタビュー』って大見出しで書いてある。読売新聞では縦横に語り、それを熟読してくださいって、そんな無責任な話はない」と皮肉った。(又吉俊充)