政府は、日本の製薬会社の新興国への進出を後押しする機構を民間と共同で立ち上げる。現地で参加企業が一緒に使える工場を新設するなどして、市場拡大を図る。6月にも開く健康・医療戦略推進本部で、本部長の安倍晋三首相が表明する方針だ。
国内の製薬市場は人口減などで長期的に縮小する可能性が高い。そのため、今後の成長が見込まれ、欧米の製薬業界の進出も相次ぐ新興国での日本企業の競争力を高める狙いがある。
設立するのは「国際医薬協力推進機構(仮称)」。新設する工場を事業に加わる製薬会社が相乗りで利用し、稼働率を上げる。薬品の流通も一本化し、効率化を図る。医薬品の製造をめざす現地企業にも、工場利用を呼びかける方針だ。
国内から十数社の製薬・バイオ医薬品会社が参加を予定。第1弾としてタイやベトナム、カンボジアなどでの工場建設をめざす。機構は株式会社とし、出資比率や設立時期は調整している。国ごとに数十億~数百億円規模の事業とする。
この会社を支援する組織として、政府は年内にも一般社団法人「国際医薬協力機構(仮称)」も立ち上げる。新興国は薬事制度や臨床試験の仕組み、医薬品の流通システムが整っていないところが多く、ノウハウを伝授する役割を担う。(水戸部六美)