ノドサウルスの仲間の頭部。トカゲのような顔の輪郭や首回りの角のような隆起がそのまま残っている(ロイヤル・ティレル古生物学博物館提供)
カナダ西部アルバータ州で、ゴツゴツしたよろいのような装甲に覆われた恐竜のほぼ完全な上半身の化石が見つかり、地元のロイヤル・ティレル古生物学博物館が一般公開を始めた。トカゲのような顔つきや、外敵から身を守る角のような立体的な構造が生きている当時のまま残っており、極めて保存状態がよいという。
同博物館によると、化石は2011年、アルバータ州のオイルサンド採掘場から出土。5年以上かけて岩などを取り除いた。鼻先から腰にかけて皮膚などの組織の形が残っており、約1億1千万年前の白亜紀前期の植物食恐竜ノドサウルスの新種と見られるという。
一般公開に合わせて記事を掲載したナショナル・ジオグラフィック誌(電子版)によると、全長約5・5メートル、体重約1・4トン。洪水に巻き込まれるなどして流された死体が沖に出て沈み、皮膚などの組織が腐る前に海底に埋まったことで、当時の形をとどめたまま化石になったらしい。
通常の化石は、骨や歯など硬い部分が残るのがほとんど。中国で出土する羽毛恐竜の化石も保存状態がよいことで知られるが、押し花のように平らに押しつぶされている。当時の形状を残す化石の発見は極めて珍しいという。(ワシントン=小林哲)