東京都台東区のマンションで25日、男(21)が元交際相手の母親(55)を人質に立てこもった事件で、男は母親を監禁中、警察に「(元交際相手の)女性と会わせろ」と再三要求していたことがわかった。警視庁は事件前日の24日、男に対してストーカー規制法に基づく警告を出していた。
マンション立てこもり、男を確保 元交際相手の母人質
男は鹿児島県姶良市の堤慎吾容疑者=逮捕監禁致傷容疑で逮捕。入院治療のため同庁は26日、堤容疑者をいったん釈放した。
同庁によると、堤容疑者は25日午後5時45分ごろからマンションの室内に立てこもった。浅草署に母親に電話をかけさせ、女性を部屋に連れてくるよう要求。初めは「午後8時まで」と指定し、「午後8時40分まで」「午後9時まで」と要求を繰り返した。同庁はこの間、立てこもり事件などに対応する捜査1課特殊犯捜査係(SIT)を部屋の周辺に配置。これ以上引き延ばすと母親に危害が及ぶと判断し、午後8時57分にSITを突入させた。堤容疑者と母親は居間で折り重なるように倒れていた。堤容疑者は左胸に刃物が刺さっていたといい、自殺を図ったとみられる。母親も切り傷などがあったが命に別条はなく、「突入の2分前に切られた」と話したという。
堤容疑者は今年4月に女性と別れ、鹿児島に戻ったが、今月18日から女性に頻繁に電話をかけるようになった。女性が出なかったため、鹿児島から車で上京し、事件前日の24日朝、東京都中野区の女性宅を訪問した。女性の110番通報を受け、警察は女性に近づかないよう堤容疑者に警告するとともに、女性を母親が住む実家のマンションに避難させていた。