ポケモンの衣装を着て走る公道カートのツアー参加者=大阪市天王寺区、米田優人撮影(ナンバーにモザイクをかけています)
マリオやポケモンなどの人気キャラクターの衣装を着て走る公道カートによる事故を防ぐため、大阪府警は25日、大阪市内のレンタル業者2社に対し、事故防止対策の徹底を申し入れた。観光名所をめぐるツアーが外国人観光客らの人気を集めるが、シートベルトやヘルメットの着用は義務化されておらず、安全面での課題が指摘されている。
低い車高、公道カートひやり 風は心地いいが…記者体験
公道カートは遊園地のゴーカートのような形状で、「ミニカー」と呼ばれる。運転には普通免許が必要で、一般道の法定速度60キロで走ることができる。道路交通法では普通自動車と同じ扱いになるため、ヘルメットの着用は義務づけられていない。一方、道路運送車両法では「原動機付き自転車」となるため、シートベルトの着用はバイクと同様で義務化されていない。
府警は今月、府内の公道カートの利用状況について調査を実施。それを元に25日、レンタル業者2社に対し、乗車中のスマートフォンでの撮影禁止や適切な同行スタッフの配置などを求めた。申し入れを受けた業者の一つは朝日新聞の取材に「これまでも交通ルールはきちんと守って事故ゼロを目指してきたが、改めて意識が高まった」と話した。
府警交通総務課によると、大阪市内では昨年12月と今年3月、公道カートと乗用車が接触し、カートを運転していた男性がけがをする事故が各1件あった。それぞれ交差点での出合い頭の接触と、信号待ち中のカートへの追突だった。
警察庁によると、公道カートを含めた「ミニカー」による事故は、昨年までの10年間で全国で737件起き、12人が死亡している。今年は4月末時点で30件の事故が発生。違反は一時不停止や通行禁止区間の走行などが多いという。警視庁も今月22日、都内の5業者に事故防止対策の徹底を要望した。
■大阪府警が業者に申し入れた主な項目
・参加台数に見合う同行スタッフの配置
・運転中のスマートフォンの操作を禁止
・巻き込まれやすい服装への注意喚起
・普通免許証や国際免許証の所持確認
・車両整備の徹底
・大型車との接触を避ける対策の強化