辺野古沖の護岸工事は沖合へと延びる。先端部分は工事中のK3=2018年4月19日午後2時48分、沖縄県名護市、本社機から、堀英治撮影
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、護岸工事が始まって25日で1年になる。国は海域を埋め立てるため、7月にも土砂の投入を始める見通しになった。移設に反対する翁長雄志(おながたけし)知事が埋め立て承認の「撤回」にいつ踏み切るかが、焦点になっている。
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護岸は7本目まで着工済み。6月には米軍キャンプ・シュワブ南側の一部の護岸がつながり、海域が囲まれる。沖縄防衛局は7月にも、この海域から土砂投入を始めたい考えだ。
一方、翁長氏が工事を止める「最後の切り札」が、前知事が出した埋め立て承認の効力を失わせる「撤回」だ。昨年3月に「必ずやる」と明言した。承認後の国の工事の進め方が、環境保全策について県と協議をすることを定めた承認の「留意事項」に違反すると訴える。
だが、残された時間は多くない。実際の撤回までには、事前に「撤回の手続きに入る」と表明し、埋め立てを申請した国の意見を聞く「聴聞期間」を1カ月程度設ける必要がある。そのため、7月に間に合わせるには5月末が表明のリミットとなる。撤回しても、その効力を一時的に失わせる執行停止を国が裁判所に申し立てて認められれば、数週間で工事が再開する可能性がある。国は撤回は違法だと訴える訴訟も起こす方針だ。
翁長氏は今月、膵臓(すいぞう)に腫瘍(しゅよう)が見つかり、21日に手術した。突如浮上した健康問題に、県幹部は「復帰まで数週間はかかるだろう。先が見通せなくなった」と話す。(山下龍一)