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平昌へ「頑張って」 選手の妻、ワンオペ育児に奮闘中

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2017-6-3 8:58:24  点击:  切换到繁體中文

 

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家族と自宅近くを散歩するノルディックスキー男子距離の吉田圭伸(後列右)。妻の洋子さん(後列左)、瑞藍君(手前右)と藍雅君(手前左)=札幌市


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平昌(ピョンチャン)五輪まで4日であと250日。冬季競技は海外を中心に遠征が続き、小さな子を持つ父親選手も家を空ける。彼らの活躍は、家族の奮闘があってこそだ。


ノルディックスキー男子距離のエース吉田圭伸(けいしん、30歳)=自衛隊=が札幌市内の自宅で過ごすのは年に120日ほど。初出場した2014年ソチ五輪の前年、双子の瑞雅(すいが)さんと藍雅(あいが)さん(ともに4)が生まれ、妻の洋子さん(37)がほぼ1人で切り盛りしてきた。


「家のことは任せて、代わりにスキーを頑張って」。専業主婦の洋子さんはそう割り切った。育児や家事、夫のサポートもやらなきゃと言い聞かせてきた。


吉田は父親になっても競技優先の生活リズムを崩さなかった。午後6時に帰宅して夕食を取り、入浴後にストレッチをして午後11時には寝る。夜泣きをする子どもとは別室で耳栓をして寝たことも。「選手なので仕方ない。産後1年半は子育てで精いっぱいで、夫の食事作りは最低限だった」と洋子さんは振り返る。


幸い、子どもは風邪知らず。隣の家庭も双子で、子育ての助言をもらえた。遠征が続く時は神奈川県内の実家に里帰りし、家族を頼れた。


それでも、いらいらから子どもに言い過ぎた時があったという。「言っても分からない年齢だったのに。落ち着いたら自己嫌悪していた」。息抜きは昼間の散歩。ベビーカーの2人を寝かしつけ、近くの喫茶店でコーヒーを口にすると心が安らいだ。マスターから「子育ては大変だよね」とケーキをごちそうされた日は偶然、自身の誕生日。思い詰めていたのか、涙がこぼれた。


吉田との連絡は、ほぼ毎日のように欠かさない。洋子さんは「愚痴や悩みを聞いてくれるだけで楽になれた」。子どもがこの春から幼稚園に通い、ようやく生活に余裕が生まれた。夫が現役の間は競技を優先して欲しい。時間ができたら、家族旅行やキャンプにいきたいと思っている。(笠井正基)


■仕事と両立 諦める選択肢一度もなし


カーリング男子日本代表(SC軽井沢ク)のスキップ両角友佑(32)の妻、恵美さん(42)は理学療法士として長野県軽井沢町で週5日働きながら、1~5歳の子ども3人を育てている。


軽井沢町内の健康増進イベントに派遣されたことがきっかけで、2人は8年前に結婚。恵美さんは「第一印象は面白いお兄ちゃん。まさか五輪に行くなんて、想像もしていなかった」と言う。「アスリートの妻の覚悟? 全然なかった」


両角は7~3月はほとんど海外に出る。その期間、恵美さんは朝8時に家を出て、子どもを保育園に送って出勤。車で40分ほどの所に住む母に迎えは頼んであり、午後7時ごろ帰宅して子どもに夕食をつくり、風呂に入れて寝付かせてから家事をこなす。いわゆる「ワンオペ育児」で仕事も頑張るハードな日々だ。


疲労も不満もたまるはずだが、恵美さんの表情は明るい。「彼を支えるため、家計を支えるため、というのとは違う。私も好きなことをしている。仕事に集中する時間は大切」。長女出産後の育児休暇中、育児だけを考えて常に不安だった頃が一番きつかったという。


「いっぱいいっぱいの時は電話で彼に全部はき出す。話して頭が整理されると、だいたいのことは解決する」。日本にいる時間を増やすために両角がカーリングを諦める、育児に専念するために恵美さんが仕事を辞める。そんな選択肢は一度もなかったという。


長女の奏美さん(かなみ、5歳)は自分からカーリング教室に通い始め、次女の咲希さん(さき、3歳)は「パパはカーリングしていて好き!」。恵美さんは「皆さんに見てもらえるようになる前から、彼はずっと黙々と練習してきた。結果の前には頑張りがあるっていうことを、子どもは自然と学んでいるんじゃないかな。平昌で戦う姿から、何を感じてくれるか楽しみ」。(渡辺芳枝)


■出産後に五輪、子どもに「見せたかった」


子どもの存在は、選手の大きなモチベーションになる。


「子どもがいなければ、五輪には出られなかった」。2014年ソチ五輪フリースタイルスキー女子ハーフパイプに出場した三星マナミさん(33)は振り返る。


09年に長女を出産した直後にハーフパイプが五輪種目となり、現役復帰。「好きなことに何が何でも向き合い続ける姿勢を(子どもに)見せたかった」。夫は長野県内でアウトドアショップを営む傍ら日本代表コーチを務めており、長女は横浜市の母に預けた。


1歳の子と、4カ月間も離れる遠征は身が引き裂かれる思いだったという。だからこそ責任感を持って練習に打ち込んだ。「自分がこんなに頑張れる人間だとは思わなかった」と言う。予選敗退だった五輪後に引退し、手探りで競技を続ける母親選手をつなげようと「ママアスリートネットワーク」を設立した。


長女は7歳になり、昨年次女を出産した。最近、平昌五輪のニュースを見た長女に「ママ、出ないの?」と尋ねられた。辞めたんだよと伝えると、「出て欲しいな。かっこよかったから」と恥ずかしそうに言われた。「その言葉を聞いた瞬間、私の五輪は完結した。寂しくて葛藤したのは子どもより親の方だったのかも。子どもは見ている。五輪で分かりやすく、親はヒーローになれる」



〈アスリートへの育児支援〉 対象は女性選手だけだが、東京都北区の国立スポーツ科学センター(JISS)は2013年から「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」を実施。産前産後のトレーニングを指導したり、子どもの遠征帯同費を補助したりしている。14年ソチ五輪ではカーリング女子の小笠原歩らが利用した。三星さんらが立ち上げた「ママアスリートネットワーク」による勉強会も、同事業の一環で開かれている。味の素ナショナルトレーニングセンターには13年に託児室ができ、男女とも同施設での練習中に使える。




 

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