英ロンドン中心部のロンドン橋付近で3日夜に起きたテロ事件で、射殺された3人の実行犯のうちの1人は、以前からイスラム過激派の思想への傾倒がみられ、治安当局に通報されていたことが分かった。英主要メディアが伝えた。
ロンドン橋テロ、容疑者12人拘束 複数箇所で家宅捜索
テロ事件では7人が死亡、約50人が負傷した。ロンドン警視庁は4日、テロに関与した疑いで、実行犯の男が住んでいたとみられるロンドン東部バーキングの集合住宅で19~60歳の男女11人を拘束。さらに近くの別の住所で女(38)を拘束した。5日午前1時(日本時間5日午前9時)現在も計11人を拘束中だ。
英BBCは、集合住宅に住んでいた実行犯の男が、この2年間に過激思想への傾倒を強めていたという友人の証言を報じた。特定のテロ事件を正当化する態度を取ったため、この友人は治安当局に通報したとしている。男が急進的なイスラム聖職者の説教もよく聴いていたとも語った。
別の近隣住民も、男が公園で子どもたちを過激思想に引き込もうとしていたとして2年以上前に当局に通報したとBBCに語った。
英PA通信はまた、数カ月前に男が自宅近くのモスク(イスラム教礼拝所)でイマーム(宗教指導者)の説教に反発して話を遮って質問し、退場を促されたという別の近隣住民の証言を伝えた。(ロンドン=渡辺志帆)
■IS系列メディアが「犯行声明」
ロンドン中心部で起きたテロ事件で、過激派組織「イスラム国」(IS)の系列メディア「アマク通信」は4日、治安筋の話だとして「ISの戦闘部隊が昨日(3日)のロンドンの襲撃を実行した」と伝えた。ISの犯行声明とみられるが、実行者や犯行状況などには触れていない。(アルビル〈イラク北部〉=翁長忠雄)