第1セット、大声を張り上げる全日本男子の中垣内監督
バレーボール男子のワールドリーグ高崎大会が9日、群馬・高崎アリーナで始まり、全日本は中垣内祐一監督の初采配となるトルコとの一戦をセットカウント3―1で勝利した。初勝利に中垣内監督は「選手に勝たせてもらった。この1勝は我々(全日本)にとっても、私にとっても大きい」と語った。
昨年10月末に監督に選ばれたが、翌月、交通事故を起こして、対外活動を自粛。今年5月の全日本の始動時、選手には謝罪のあいさつをしただけ。公式戦の采配はフランスの元監督で実績を残したフィリップ・ブランコーチに託していた。チーム練習に加わったのが試合前日の8日。監督本人も「イレギュラー」と呼ぶ始動だった。
この日も、戦術面の指示はブランコーチに任せた。「選手たちの一番近い応援者でありたい」。コート脇に立って選手のプレーを見守り、戦術面を補完するような技術面、精神面の指示を送ることに徹した。
象徴的だったのが、シニアで国内デビューを果たした大竹への対応だ。大竹はこの日、両チーム最多の17得点。自身の現役時代と同じ攻撃専従型のポジションの大竹を「現時点では及第点」とたたえたが、注文も忘れなかった。
第3セットの25―25から大竹が2本連続でブロックにつかまり、このセットを落とした。23歳以下の代表の時から勝負強さに難があった21歳に「平常心でプレーすることが課題だよ」とすかさずアドバイスした。
得点を挙げればそれで良しとはしない。「どういう決め方をしたのか。決まるべくして決まったのか、相手のブロックが悪くて決まったのか、区別していくつもり」。伸び盛りの若手をいかに一線級に育てるのか。中垣内監督の方針が垣間見えた。(能田英二)