ティラーソン米国務長官は13日、北朝鮮に「敵対行為を働いた」として抑留されていた米国人男子大学生が釈放された、と発表した。米国務省によると、既に帰国の途についている。学生の家族が発表した声明によると、大学生は昏睡(こんすい)状態だという。
釈放されたのは、バージニア大学生のオットー・フレデリック・ワームビア氏(22)。観光目的で一昨年末に訪朝し、帰国直前の昨年1月2日に平壌の国際空港で拘束された。昨年2月末に会見した同氏は「1月1日に平壌のホテル内で政治スローガンが書かれたものを盗むために取り外した」と説明、謝罪していた。北朝鮮の最高裁は昨年3月、国家転覆陰謀罪で15年の労働教化刑の判決を言い渡していた。
米政府当局者によると、米朝両政府の関係者が水面下で接触を重ね、同氏の釈放について交渉してきたという。北朝鮮は同氏以外に3人の米国人を拘束している。ティラーソン氏は「引き続き北朝鮮側と交渉していきたい」と述べた。
ワームビア氏の家族が発表した声明などによると、ワームビア氏は判決後、ポツリヌス中毒を発症して体調が悪化。その際に睡眠薬を服用し、昏睡状態になったという。(ワシントン=峯村健司)