船の到着に合わせて動くガントリークレーン。作業は深夜に及ぶことも。操縦室は横に伸びたアームに沿って移動する=神戸市中央区
ミナト神戸の物流を支えるのは、ガントリークレーンという巨大な機械だ。大型船が着くとアームを下ろし、船と陸との間でコンテナの積み下ろしをする。神戸港では50基近くが岸壁(がんぺき)にそびえ立ち、壮観な風景を形作っている。
時間をめぐる物語「時紀行」
(時紀行:時の余話)眺望もメガ級、まるで空中回廊
■時紀行:神戸港のガントリークレーン 1分12秒
そのたたずまいから「海のキリン」と呼ばれる。神戸市のポートアイランドには、高さ約120メートルに達する「メガガントリークレーン」が林立する。そばで見上げると、押しつぶされそうな迫力だ。
キリンの股の高さにある操縦室を移動させ、長さ40フィート(約12メートル)のコンテナの上へ。地上からは約50メートル、前面も床面もガラス張り。オペレーターは透明の床をのぞき込みながら左右のレバーを操る。
目視でねらいを定め、カステラの箱ぐらいに見えるコンテナめがけて、「スプレッダー」と呼ばれるつり上げ装置を下ろす。
カチャン。かみ合う音をたててコンテナの四隅に鉤(かぎ)がかかる。ワイヤをたぐり寄せ、操縦室ごと移動しながらコンテナを運ぶ。
クレーンゲームのような要領だ。違うのは、水平、垂直の動きを同時に行い、横から見るとコンテナが斜めに動いていること。これでスピードがぐんと上がる。
港湾総合物流大手の上組(かみぐみ、神戸市)は3基のメガガントリークレーンを扱う。操縦できるのは資格を持った限られた人だけ。「港の花形」といわれるゆえんだ。
ベテランだと1個につき1分12秒、1時間に最大50個のコンテナを積み下ろしできる。海外では平均20~30個というから、その技術の高さは際立っている。