昨年10月、相鉄いずみ野線緑園都市駅で電車到着サイン音の導入に向けて検証するフェリス女学院大の学生ら(横浜市、同大提供)
ホームではなく改札付近で心地いいメロディーが流れる駅が、神奈川県の相鉄いずみ野線にあります。駅が抱えるある問題の解決のため、大学生と鉄道会社がコラボしました。
特集:テツの広場
横浜市旭区の二俣川駅と神奈川県藤沢市の湘南台駅を結ぶ相鉄いずみ野線。その間にある緑園都市駅の1階改札口付近で、心地いいメロディーが流れ始めた。クラリネットとアルトフルートの音色。改札を抜け、階段を歩いて上る間に、音階がだんだん上がっていく。2階のホームに着く直前にメロディーは途切れ、上りの各駅停車の電車がホームに入ってきた。
同駅の近くにキャンパスがあるフェリス女学院大(横浜市)の学生たちが考えた、電車到着のサイン音「アンダンテ」だ。今年3月から同駅で試験的に導入されている。
大学と鉄道会社の協力のきっかけは1年半前。同大音楽学部音楽芸術学科の船場ひさお講師(51)が「環境音楽デザイン」の授業で、同駅の問題点を音で解決する企画を提案するという課題を出したことだった。
同駅の1階改札には、電車の到着時刻や行き先を知らせる電光掲示板がない。そのため、電車の音が聞こえても、乗るべき電車なのかどうかがわからず、階段を駆け上がってホームに行き、駆け込み乗車をしてしまうことが多い、という声が複数あった。
学生らは、企画提案書と電車の到着を知らせるサイン音のサンプルを作った。「せっかくなら、相鉄の人にも聞いてもらおう」と、昨年2月に相鉄ホールディングス(横浜市)の社員らを同大に招き、学生数人が説明した。すると、「導入に向けて、共同プロジェクトを組みたい」と同社から声がかかり、船場さんが指導する音環境デザインゼミの学生ら約10人が取り組むことになった。
昨年4月から毎月、同社と相模…