中国製アセトアミノフェンの混入と隠ぺいの流れ
風邪薬の主要成分アセトアミノフェン(AA)製造最大手の「山本化学工業」(和歌山市)が安価な中国製AAを無届けで混入させていた問題で、同社が和歌山県による定期的な立ち入り検査などの際、中国製AAを隠したり製造記録を偽装したりしていたことが、同社関係者の証言でわかった。
風邪薬成分、安価な中国産で水増し 国内最大手メーカー
こうした行為は医薬品医療機器法違反にあたり、県が山本化学から事情を聴くなど調査を進めている。
製薬会社への指導権限は都道府県にあり、和歌山県は2年に1回、定期的に立ち入り検査をして違法行為がないか点検している。また、山本化学からAAを仕入れている製薬会社も品質チェックのために同法に基づいて現地監査をする。
山本化学の関係者によると、同社では2階建ての工場に設置してある約2千リットルの釜でAAを作っているが、AAが出来上がったあと、釜の上部から中国製AAを入れて水増しし、混ぜていたという。
中国製AAはドラム缶のような容器に入れ、普段は工場隣の倉庫に保管している。これを一定量ごとに工場に移し、混入していた。
しかし、県の立ち入り検査などの予定が事前に連絡されると、前日夜か当日朝に工場内に残る中国製AAを倉庫に戻し、倉庫の鍵を閉めていた。検査では中国製AAの存在は明かしていなかったという。
さらに、普段は製造記録をほとんど付けていなかったが、立ち入り検査などの際には事後的に作成した記録を示し、普段から付けていたように装っていたという。
朝日新聞の取材に対して、山本化学は「いまだ処分が決まっていないので、回答は保留させていただきます」とコメントしている。
なお、医療機器メーカーの山本化学工業(大阪市)は22日、「和歌山の原薬メーカーとは一切関係ありません」とコメントを出した。(沢伸也、杢田光)