通常国会の答弁をファクトチェックすると
安倍晋三首相や側近議員との関係が問われた「森友学園」や「加計学園」問題に揺れ、首相発言を機に憲法論議も活発化した通常国会。150日間の論戦から、政府答弁をファクトチェックした。
■萩生田氏
国会閉会後も野党から審議を求められている加計学園の獣医学部新設問題。学園の大学で名誉客員教授を務める萩生田光一官房副長官は5月23日の参院農林水産委員会で、自由党議員に「利害関係者が省庁間の調整に関わってはいけないとの認識はなかったか」と問われて答えた。
〈この案件は、あくまで国家戦略特区で今治市が申請するもので、(関係の)省内で議論している段階では、特定の学校法人を想定して話し合いをした事実はない〉
萩生田氏は学園に便宜を図るための具体的な調整や指示を一貫して否定している。一方で6月16日の参院内閣委員会では、学園の獣医学部新設の動きについて「(2015年に)政府に入ってから、文部科学省等々から説明を聞いて初めて承知をした」と答弁。学園が国家戦略特区の事業主体に認定される約3カ月前の昨年10月に獣医学部新設に関する相談を文科省から受けたことも認めている。
山本幸三地方創生担当相と山本有二農林水産相は昨年夏、学園理事長と面会し、学部新設の説明を受けたという。官邸中枢の萩生田氏が「特定の学校法人を想定していない」と言うには更に説明が必要だ。
■山本地方創生担当相
国家戦略特区の担当で、加計学園問題でもたびたび説明を求められた山本地方創生担当相も答弁内容が問われた。
〈(大英博物館内の改装に)一番抵抗したのが学芸員で、観光マインドがない学芸員は全部首にしたと言うんですね。その後、ロンドンに大英博物館をはじめ大変な観光客が継続して続くようになった〉
3月9日の参院内閣委で、東京五輪・パラリンピックに合わせた観光戦略を問われた際の答弁だ。だが、発言は友人からの伝聞情報で、実際は方針に反対の一部の学芸員が定年前に退職したということが判明。その後、「単純に表現したことについては誤りもあった」と謝罪した。