森友学園関連の「高等森友学園保育園」(大阪市淀川区)の保育士不足問題で、大阪市の有識者会議が26日開かれた。同園がなおも保育士を確保できず、その見通しも示されていないことから、「児童福祉に著しく有害」と判断し、半年間の事業停止命令が妥当と結論づけた。これを受けて、吉村洋文市長は7月1日からの事業停止を命じる方針で、同園は休園に追い込まれることになる。
厚生労働省によると、保育士不足を理由に事業停止命令を出すケースは「きわめて珍しい」という。
同園は籠池泰典氏が代表を務める社会福祉法人が運営。市によると、今年4月、園側から「保育士が足りなくなった」と連絡があった。市は緊急措置として市立保育園の保育士や保育士資格を持つ職員を最大6人派遣。4月に改善勧告、改善命令を出し、保育士確保を園に求めてきた。
同園には今月26日現在、0~5歳の園児36人が在籍し、市の基準では常勤4人を含む保育士6人が必要だが、基準を満たしていない。16日の市の立ち入り調査で、園側は代理人弁護士が対応。市が求めた資料がほとんど用意されず、籠池氏も現れなかったという。
26日の有識者による市社会福祉審議会児童福祉専門分科会で、委員らは3カ月間保育士不足が続いていることや、園児36人の保護者全員が転園を希望していることなどを指摘。事業停止命令は妥当と結論づけた。
ただし、市によると、園児36人のうち、31人は転園先が内定したが、残る5人の行き先は調整中という。(今野忍)