山本幸三地方創生相は4日、公務員の獣医師が不足しているのは「小動物獣医師がもうけるからだ」と述べ、ペットを診る小動物獣医師の待遇が良すぎるとの認識を示した。獣医学部をつくって獣医師を増やせば、ペット診療の「価格破壊」が起きて小動物獣医師の給与が下がり、相対的に給与が低いとされる公務員獣医師の不足が緩和されるという持論を述べた。
安倍晋三首相が「公務員獣医師の確保は喫緊の課題だ」などとして獣医学部を全国で増やす方針を示したことを受け、山本氏が閣議後の会見で発言した。「小動物獣医師の給与を下げるべきだと考えるか」という質問に、「そう思っている。(日本)獣医師会の資料で、1施設で5千万円以上の収入があるところが3割を超える」などと語った。
同じ6年制大学で学び、国家資格が必要な歯科医師の場合、歯科医師不足が指摘された1970年代以降、大学の新設が相次いだ。その結果、歯科医師は過剰気味となり、政府は削減の方針を打ち出している。歯学部の志望者は減る傾向にあり、日本歯科医師会は「質」の低下が起きていると指摘している。
厚生労働省の2016年賃金構造基本統計調査によると、民間事業所で働く獣医師の平均年収は約570万円となっている。医師の年収約1240万円、歯科医師の約860万円に比べても低い。