儀間政夫さんの思い出を語り合う次男の哲也さん(左)と次女の森根かおりさん=6月10日、沖縄県沖縄市、吉田拓史撮影
サトウキビ畑から、無邪気な笑顔をのぞかせている少年。1935年に沖縄・古謝(こじゃ=現・沖縄市)で撮影された1枚だ。彼は当時6歳。ブラジルから来たばかりだった。
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沖縄タイムスの取材で、少年は儀間(ぎま)政夫さんだとわかった。昨年5月に87歳で亡くなっていた。
■家族「本人に見せたかった」
家族に写真を見てもらった。「父のこどものころの写真は初めて見た。面影がある。すぐにお父さんだとわかった」。次男の哲也さん(50)は言った。次女の森根かおりさん(46)も「本人が見たら一番喜んだはず。見せたかったな」。
近所の比屋根朝栄(ひやねちょうえい)さん(90)は、当時の政夫さんのことをよく覚えている。写真は半ズボンにサスペンダー姿。「あんな格好をしていたのは政夫だけ。靴もはいていたよ。沖縄はみんな、はだしだったのに」と振り返った。
家族らによると、政夫さんは1928年、ブラジル・サンパウロ生まれ。父はイタリア系、母はポルトガル系で「ディオグ」と名付けられた。母が出産直後に亡くなり、古謝からブラジルに移民していた夫婦に引き取られ、この夫婦とともに6歳で沖縄に来た。1年ほどして儀間家の養子になった。写真はそのころに撮影されたとみられる。