気温が上がるこの季節は、食中毒を引き起こす菌が増えやすくなる。過去の災害では避難所での集団食中毒が起こっており、厚生労働省は、今回の九州豪雨の被災地でも注意を呼びかけている。
昨年の熊本地震。5月、熊本市の避難所でおにぎりを食べた34人が、嘔吐(おうと)や下痢に見舞われ、うち21人が入院した。おにぎりは、市内の飲食店で従業員がボランティアで作ったものだった。残ったおにぎりや患者の便から、黄色ブドウ球菌が検出された。
日本食品衛生協会によると、黄色ブドウ球菌は人の手や鼻、髪の毛に付いていることがある。調理前にせっけんで手を洗い、ラップや使い捨てのビニール手袋を使い、食材に素手で触らないようにする。
気温が高い夏は、菌が増えやすい。厚生労働省によると、昨年までの過去3年間で、報告件数の約半数は6~8月に発生した。
東日本大震災後の2011年6月には、福島県田村市の避難所で、鶏肉の煮込み料理などを食べた避難者ら69人が下痢や腹痛を訴えた。ウェルシュ菌が原因だった。
食品安全委員会によると、ウェルシュ菌による食中毒は、カレーやシチューが原因になることが多い。人や動物の便などにいるウェルシュ菌は12~50度で増殖するため、鍋で大量に作ってそのまま置いておくと、菌が増殖しやすい。
調理後は早めに食べるか、小分けにして冷蔵庫などで10度以下にして保管する。一晩置くときは、よくかきまぜながら全体を十分加熱して食べる。(福地慶太郎)