3回戦で敗退した錦織=ロイター
テニスのウィンブルドン選手権第5日は7日、ロンドン郊外のオールイングランド・クラブで男女シングルス3回戦があり、日本勢が姿を消した。男子では、世界ランキング9位で第9シードの錦織圭(日清食品)が、同19位で第18シードのロベルト・バウティスタ(スペイン)に、4―6、6―7、6―3、3―6で敗れ、2年連続の16強入りを逃した。同59位の大坂なおみ(日清食品)は、同11位で第10シード、過去5回優勝のビーナス・ウィリアムズ(米)に6―7、4―6でストレート負け。4大大会で自身初の16強入りはならなかった。女子ダブルス2回戦では土居美咲(ミキハウス)、荘佳容(台)組が全仏準優勝の豪州ペアに敗退。混合ダブルスの綿貫裕介、二宮真琴(ともに橋本総業)組は、1回戦でロシア、豪州選手のペアに逆転勝利した。
第6日の8日は男子シングルス3回戦で、昨年8強のジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)が敗退した。
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錦織は、またしてもウィンブルドンで上位に進めなかった。ただ、けがで棄権した昨年や一昨年と違い、今年の大会は「体調は全く問題なかった」というだけに、3回戦で敗れたショックは大きい。
7日のバウティスタ(スペイン)戦は、いきなり2セットを先取された。ブレークに成功したのは、わずか2度。粘って、粘って、粘った末にペースをつかむいつもの姿はなかった。
昨年はリオデジャネイロ五輪で銅メダルを取り、全米オープン4強、ATPツアー・ファイナルでも準決勝に進出。しかし、今季はツアー未勝利。錦織は「早めに大事なポイントが取れないもどかしさは試合によって多くある。プレーの仕方なのか、気持ちの持ちようなのか」。ミスが出るとラケットをたたきつけるなど感情面での起伏も激しく、試合途中に集中力が突然切れるような場面もある。
「気持ちの疲労が大きいのでは」と指摘するのは、日本テニス協会の土橋登志久・強化副本部長。昨年の全仏で4大大会全制覇を成し遂げたジョコビッチが、燃え尽き症候群になった状態に似ているとみている。
欧州でのシーズンを終えた錦織。約1カ月半後に控える今季最後のメジャー大会、全米オープンへ向け、「大きな自信が生まれてこない」という状況から抜けることが出来るか。(富山正浩)