埼玉県東松山市で昨年8月、当時16歳の少年を死なせたとして傷害致死罪に問われた無職少年(18)=同市=の裁判員裁判の判決が11日、さいたま地裁であり、栗原正史裁判長は懲役6年以上9年以下の不定期刑(求刑懲役6年以上10年以下)を言い渡した。
被告少年に懲役刑を求刑 埼玉・東松山の16歳暴行死
起訴内容は昨年8月22日未明、東松山市の都幾(とき)川河川敷で他の15~17歳の少年4人とともに、同県吉見町のアルバイト井上翼さんに暴行して意識混濁の状態にさせ、川に沈めて溺死(できし)させたなどというもの。被告の少年と17歳の少年が起訴され、ほかの3人は「従属的だった」などとして少年院に送られた。
検察側の冒頭陳述によると、少年は、井上さんが会うのを避けようとしたことに腹を立て、「タイマン」と称して年下の少年らに命じるなどして1人ずつ井上さんに暴行。16歳の少年が救急車を呼ぼうと提案したのに反対したり、年下の少年らと「現場にいなかったことにしよう」などと口裏合わせをしたりしたという。
論告で検察側は、暴行を「執拗(しつよう)で強烈」と述べ、少年が5人の中で年長だったことなどから「発言力が強い。役割は主導的で重大」などと指摘。弁護側は「十分な育て直しがないまま社会復帰すれば、再犯の恐れが高まる」などと訴え、刑事罰でなく少年院送致などの保護処分が適切だとして、家裁に事件を移すよう求めていた。(小笠原一樹)