開示された不祥事件届け出書。黒塗りの部分が目立った
愛知県内の農業協同組合(JA)の職員による顧客の金の横領など、JAが県に届け出た不祥事が、2012~16年度に17件あったことが、県への情報公開請求で分かった。被害額は計約4億円に上る。県によると今年6月までに新聞で報道されたのはうち6件。専門家はJA自身による情報公開の必要性を指摘する。
横領などの不祥事があった場合、JAは監督官庁の都道府県に届け出ることが農協法で義務づけられている。12~16年度の5年間に県内の20JAから県に提出された「不詳事件届け出書」をもとに朝日新聞が集計したところ、被害額は3億9900万円超だった。
内訳は、顧客の定期積み金や集金した共済掛け金を着服するなど「業務上横領」が11件、計1億6762万円で最多。「業務上横領と詐欺、窃盗」に分類された事例も1件(2億973万円)あった。
県はJAに不祥事の公表を促している。だが今回、「公開するとJAの社会的信用が失われる恐れがある」(県組合検査指導室)として、JA名をすべて黒塗りで開示した。動機の部分も「個人の思想信条が明らかになる」との理由で黒塗りとした。
取材で特定されたJA愛知西(愛知県一宮市)では今年、男性職員が旅行券の不正購入や地方自治体などが観光客誘致のため旅行業者などに支払う助成金の着服などで573万円を横領していたことが発覚。この事例では職員が被害を全額弁済したとして、同JAは刑事告訴を見送った。
13年12月に発覚した事例で…