2020年東京五輪・パラリンピックの主会場、新国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)の建設工事に従事していた建設会社の男性社員(当時23)が自殺したのは、違法な長時間労働が原因だったとして、男性の両親が東京労働局上野労働基準監督署に労災申請したことが20日わかった。
代理人弁護士が記者会見して明らかにした。申請は12日付。代理人によると、男性は、建設工事を受注した大成建設などの共同企業体(JV)の下請け会社に勤務。昨年12月から地盤を改良する工事の現場管理を担当していたが、今年3月2日に失踪し、4月15日に長野県内で自殺した状態で見つかった。
遺族側は、時間外労働の上限を決める労使協定(36協定)による上限は月80時間だったのに、失踪前の1カ月間は211時間56分の時間外労働があったとして、違法な長時間労働による精神障害が自殺の原因だと主張している。会社側は朝日新聞の取材に、違法な長時間労働だったと認め、「真摯(しんし)に受け止め、再発防止に努める」としている。(村上晃一)