男子100メートル予選2組で1着のサニブラウン・ハキーム=池田良撮影
日本時間の5日未明にあった陸上の世界選手権男子100メートルで、自己記録に並ぶ10秒05で予選を突破したサニブラウン・ハキーム(東京陸協)。6日未明にある準決勝、もしくは決勝で9秒台に突入すれば、18歳4カ月30日で世界の史上最年少記録を更新する。現在の記録は、18歳11カ月3日で9秒97をマークしたトレイボン・ブロメル(米)。彼は前回2015年北京での世界選手権で銅メダルに輝いた。
男子100m、日本勢3人が準決勝へ 世界陸上
サニブラウンの注目度は、ロンドンでも日増しに上がっている。予選のスタート時には、各組3人しか選ばれない選手紹介の場内アナウンスを受けた。
11年の大邱(テグ)世界選手権金メダリストのヨハン・ブレーク(ジャマイカ)を寄せ付けず2組1着でフィニッシュすると、熱狂的なファンからは大歓声が送られた。取材のミックスゾーンでは、海外メディアが日本の報道陣に「サニブラウンの経歴を教えてくれないか」と問い合わせてきた。
サニブラウンは東京出身。ガーナ出身の父と日本出身の母を持ち、母も全国高校総体に出場した元陸上選手。サニブラウンは東京・城西高2年の16歳時に、世界ユース選手権短距離2冠(100メートルと200メートル)を大会新で達成。特に20秒34を出した200メートルは、現世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)の大会記録(20秒40)を塗り替えた。この年、15年世界選手権には男子200メートルに史上最年少で出場した。
3月に城西高を卒業後、現在はオランダを拠点に、世界のトップ選手たちと練習に取り組む。6月の日本選手権決勝では雨の中、山県亮太(セイコー)、桐生祥秀(東洋大)ら自己ベスト10秒0台5人の激戦を制して初優勝した。
準決勝はブレークや蘇炳添(中)ら、自己ベストが自身の10秒05より速い選手が5人いる。それでも、気負う様子はない。「最善を尽くして1ラウンドずつ上がって行ければいい」。(遠田寛生)