料理教室でパンを作る参加者(フリンさん提供)
料理が苦手な人のために開いた料理教室のノンフィクションが話題になっている。2月に出版され現在4刷に達している「ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室」(きこ書房刊)。来日した著者のキャスリーン・フリンさん(50)に話をきいた。
フリンさんは37歳でパリの有名な料理学校ル・コルドン・ブルーを卒業。その体験記が米国でベストセラーになったフードジャーナリスト。ある日スーパーで、カートいっぱいに加工食品や冷凍食品を積んだ女性を見かける。思わず話しかけると、彼女は「箱入りの食品は失敗しないから。料理をきちんと習ったことがないんです」と語った。
これをきっかけにフリンさんは料理が苦手な人10人に料理を教えるプロジェクトを始める。料理をする夫に引け目を感じ、関係に悩む人、野菜嫌いな息子に何を食べさせたらいいか途方にくれる人。
最初は包丁の握り方から始め、野菜を切り、鶏をさばき、パンを焼く。メンバーはおっかなびっくり。けれど思った以上に簡単にできて、「ねえ、これ私が作ったって信じられる?」。驚きながら自信をつけ、人生にも前向きになっていく。
そんな内容が日本でも共感をよび、7月9日、東京都内での来日記念トークイベントは約130人が集まり満員に。9割は女性だった。一人暮らしの公務員の女性(29)は「料理はめんどくさい、でも外食やコンビニで買うと自分はだめだなと思ってしまう。料理をこじらせていたんです。本を読んで気持ちが軽くなりました」と話した。
本が多くの人を引きつけること…