大理石へと落ちて、跳ね返った球の高さをチェックする
(20日、高校野球)
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「振り切る」「打たないと勝てない」。年々、そう口にする選手、チームが増えていると感じる。
新記録となる、今大会61号本塁打を放ったのは天理の山口。8番打者だが、こつこつ当てるような打撃はしない。中村監督からは「振らないと始まらない」と言われているといい、同じ試合で62号も放った。
各校が打撃に力を入れ、「1日千スイング」などと掲げる。「打高投低」の流れは加速している。
日本高校野球連盟では、打球が速すぎることなどから、2001年秋から金属製バットの重さを900グラム以上にするなど、規定を変更した。03年には13本塁打しか出なかったが、06年には60本塁打が飛び出した。
バットについては、各メーカーが改良を重ねるが、ミズノの担当の南裏智さんは、「昨年から今年で、バットに劇的な変化はありません」と話す。
南裏さんによると、ミズノで人気のあるモデルは、重心が先端付近にあるもの。振るときに重さを感じるが、しっかり振れれば飛距離も出るという。
実はこのモデルは規定が変更された02年からあるもので、仕様はほとんど変わっていない。「それだけ、しっかり振る力がある選手が増えているということでしょう」。球児がパワーアップにより、操作の難しいバットにも対応したということだろう。
ボールは、60本塁打が飛び出した翌年の07年から、いわゆる「低反発球」が導入された。
日本高野連によると、今大会も使用しているボールは同じ。高野連では毎年、大会の使用球は弾み具合、重さ、形状を検査。反発については、約4メートルの高さから50センチ四方の大理石の上に落とし、基準内に収まるかを審判委員が見る。今年は7月7日に2100個がテストされた。
新記録は打者の努力のたまものと言うほかはないだろう。(山口史朗)